連載 授業を良くする! 教育関連理論・8
グループ学習の効果を高める①─協同学習の前提を押さえる
西野 毅朗
1
1京都橘大学 教育開発支援センター
pp.512-518
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201010
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より良いグループ学習を実現したい
あらためて学習方法について考えてみましょう。西条と菊川1)が整理した基本的学習方法の特性の比較は,一斉学習,グループ学習,個別学習の特徴をよくとらえています(表1)。これをもとに考えると,一般的に講義科目では一斉学習,演習科目ではグループ学習,実習科目では個別学習が中心になります。さて,このように分類してみたものの,グループ学習はどの科目においても活用できそうに思います。一斉学習に頼りがちな講義科目でも,学生の能動性や記憶の定着率の低下,学習へのフィードバックの不足といった問題をグループ学習によって解決できないか,個別学習中心の実習科目でもカンファレンスなど,学生がグループで討議する場面はある,という具合です。
しかし,グループ学習を中心とする演習科目も含めて,グループ学習そのものをあまり効果的に進められないという悩みを抱えておられる先生は多いようです。「一部の学生だけで議論や活動が進んでしまう」「グループ活動に対して消極的な学生が出てくる」「個々人の意見を出し合うだけで,議論が深まらない」といった問題にぶつかることもしばしばです。その結果,講義科目でグループ学習にチャレンジしていた先生も,元の一斉学習に戻してしまうことがあるようです。どうすればこのような問題を解決し,グループ学習を効果的に行い,期待する学習成果を得られるようになるでしょうか。
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