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活気あふれる講義・演習へのきっかけを求めての参加
臨床で二十数年勤務した経験のなかで得た看護の楽しさや喜びを学生に伝えたい,よりよい看護を提供するために考えることのできる学生を育てたい,という思いで大学教員になり,2年目となった。学生が目を輝かせて自ら積極的に学ぶ活気あふれる講義・演習を実践するという理想はあるものの,現実はほど遠く自分の未熟さを痛感している。相当な時間をかけて講義・演習の準備を行い「これなら学びが深まるはず!この方法なら興味をもつはず!」と実践してみても,学生の反応が鈍いときがあり,理想と現実のギャップを埋めるためにどこをどのように改善すればよいかわからず困惑し,焦り,自分を責め,脱出口が見えない日々が続いた。
「近ごろの学生は……」と,基礎学力低下や学習意欲の低下を嘆く教員の声をたびたび耳にするが,大学全入時代となった今,高等教育の場としての大学がどうあるべきかが問われており,教員も変わらなければならない状況となっている。2012年中央教育審議会答申では,主体的に考える力を育てるために能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要1)とされ,2016年医道審議会保健師助産師看護師分科会保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書では,出題内容について「基礎的知識を状況に適応して判断を行う能力を問う」と提言され2),実際に思考力を試すような問題が増加している。このように社会から求められることが変化し,自分が学生時代に経験してきた知識の伝達を中心とした講義のみではなく,学生が主体的に考える力を身につけられるような講義・演習をどのように行ったらよいか方法を模索していたところ,今回の研究会に参加する機会を得た。
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