特別記事
臨床判断モデルにもとづく学習方略と評価のデザイン
細田 泰子
1
1大阪府立大学大学院看護学研究科/地域保健学域看護学類
pp.360-366
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200742
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臨床判断モデルへの関心
5年程前,筆者は在外研究員としてオレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University: 以下,OHSU)に滞在中,クリスティン・タナー氏の「看護のカリキュラムと教育(Curriculum and Instruction in Nursing)」という,大学院のオンライン授業に参加する機会を得た。この授業でタナー氏は,初心者(Novice)から達人(Expert)までの臨床判断を討論のテーマに取り上げられていた。臨床判断とは,「看護師がクライアントや患者が抱える問題,課題,懸念を理解し,突出する重要な情報に注意し,それに対して親身になってかかわりながら対応する,そのやり方」1)とされる。臨床判断に関する当時の自分のイメージは,ベテランの看護師が経験から会得した直観を働かせながら,臨床のさまざまな状況に対処するというもので,いわゆる臨床家の実践知ととらえていた。タナー氏の授業では,それぞれの参加者が臨床判断にまつわる実践例を投稿し,討論が繰り広げられていた。この授業への参加を通して,経験の乏しい初心者は,どのように臨床判断へ導かれていくのだろうかという問いを抱いた。
タナー氏は,「看護師のように考える:研究にもとづく看護の臨床判断モデル(Thinking Like a Nurse: A Research-Based Model of Clinical Judgment in Nursing)」というタイトルの論文において,臨床判断モデルには「気づき」「解釈」「反応」「省察」の4つの様相が含まれることを説明している2)。
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