東西南北
判断
大熊 藤一郎
1
,
梶原 晃
2
,
村石 利夫
3
,
井上 正義
4
1東京家庭裁判所
2ジャパン・ビューティ・コングレス協会
3日本麻雀道連盟
4ビデオ・リサーチ社営業部
pp.9
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914701
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- 文献概要
なぜ非行に走ったのか,どのように処遇をしたらよいのが,日々判断を迫られるのがわれわれの仕事である。事件送致書を読んでまず見当づけをするが,手強いと思ったのが面接してみて意外におとなしいこともある。表情による第一印象で判断し,貴重なものが捉えられることもあるが,話をしているうちに,あるいは親の情報から少年のイメージが修正される。このようないくつかの判断の屈折を経て現象の移り変りのなかに得られる相手の行動のパターンを発見するわけである。しかし判断に伴う観察者的なまなざしで少年の内的世界を理解し得たと思ったら大間違いである。こちらが共感し,少年がこちらを信頼し自己を開示して初めて相手を理解でき,治療へ発展していく.臨床的体験と知見に基づく相手に流されない鋭い判断力と同時に,非判断的態度がなければ,少年の根底にある実在を本当のものとして捉えることはできない。
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