連載 「配慮が必要な学生」の学びにつなげる対応 臨地実習における教育上の調整を考える・12【最終回】
学生の学びを促す対応に向けたFDの考え方と試み
吉本 照子
1
,
飯岡 由紀子
2
,
小川 純子
3
,
松岡 千代
4
,
遠藤 和子
5
,
松岡 克尚
6
1千葉大学大学院看護学研究科
2埼玉県立大学大学院/研究開発センター
3淑徳大学看護栄養学部看護学科
4佛教大学保健医療技術学部看護学科
5山形県立保健医療大学保健医療学部看護学科
6関西学院大学人間福祉学部
pp.1050-1057
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200891
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はじめに
臨地実習において,個別的配慮が必要な学生に対して,より効果的な指導を行うために,本連載では,看護教員が困難と感じる多様な事例について,対応の手がかりを提示しました(第3〜9回)。
具体的には,医療の場の学習環境で学生と教員はどのような状況にあるか,教員の困難感の要因および対応の基本的な考え方は何かを常に意識すること,学生の行動特性について事前情報がほとんどないなかで,最善を尽くして的確なアセスメントを行うこと(第1,2回),教員や指導者の困難感をもとに,学生に先入観をもったり,障害を決めつけないこと(第4,6〜8回),まず学生の困難感を解消すること(第6,7,11回),指導者と連携して学生の特徴を活かすこと(第5,7,8,10,11回)などの指導方針をもって,学生の学びにつなげる対応に専心することを示しました。
では,実際の臨地実習指導の場面で,どうしたら,看護教員として,常に学生全員がより学びの多い学習経験をするように,臨地実習の内容・方法を改善できるでしょうか?学生,患者・家族,指導者,教員の状況および関係性が,常に変化する医療の場の教育環境で,各教員が担当する各々の学生の特性を的確に理解し,臨地実習指導者,患者・家族などの実習協力者と調整し,対応するために,自教育機関にはどのような課題があるでしょうか?課題解決の一環として,どのように「臨地実習の質改善に向けた教員および教員組織の資源開発(Faculty Development:FD)」を行えばよいでしょうか?
今回はそうしたFDの考え方と筆者らが作成したFDプログラムの試案および試行について述べます。
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