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書評 ─『看護教育実践シリーズ 3 授業方法の基礎』─授業経験と研究成果に裏打ちされた教育技法の入門書
梅澤 明美
1
1千葉中央看護専門学校
pp.1023
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200883
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1999年発行の『わかる授業をつくる看護教育技法1 講義法』において,編者の藤岡完治氏は「たとえ一個の知識,一片の技術であっても,看護教員の身体化された教育技法を介することなく伝えることはできません。(中略)たかが技法されど技法なのです」1)と述べている。初めて私が学生に授業をしたのは2004年。「わかる授業をつくる看護教育技法」シリーズには大変お世話になった。時が流れ,教育のパラダイムは学習パラダイムへと転換が求められている。本書はその時代の流れをふまえたうえで,読みやすく書かれている。
本書は,「授業方法の意義と指針」「授業の基本的な技法」「さまざまな場面での授業の工夫」の3部で構成されている。最初から続けて読んだほうが得られるものは大きい。しかし多忙な看護教員が1冊の本を読み終えるには多少時間を要する。編者も“はじめに”で述べているが,本書は目次を見て,自分に必要なところや興味があるところから読み始めても理解できるように書かれている。たとえば,発問が効果的にできないことで悩んでいるならば,2部5章「発問を取り入れる」を,授業外の課題の出し方に悩んでいるならば,3部11章「授業時間外の学習を促す」を,というようにである。後者には,授業時間外の学習の重要性を学生にどのように伝えたらよいか,どのように課題を作成すればよいか,どのように課題に取り組ませ,授業時間外の学習をどのように支援するのかが書かれていて,悩みを解決するための力になるだろう。
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