小特集 看護教育評価
教育評価を支えるもの—学生の成長を促すための評価
岩浅 農也
1
1日本赤十字看護大学
pp.518-526
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908545
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教育という営み
私は,教育という仕事に20年あまり携わってきた.教育について,とくに授業について論ずる時,建て前としては,教材研究だけを偏重するのでなく,学級づくりも大切だとか,教えるというのは教えてわからせる,覚えさせるだけでなく,人間をつくるのだと言っていた,しかし,本音,つまり日常の授業の時に,そこまで考えることができたわけではなかった.江戸時代の教育書,「窓の雪」で言うように,「教えざるは親の罪なり.教えて学ばざるは子の罪なり」という考え方に近く,勉強しない子どもを責めたい気持ちを持つこともあった.
宮城教育大学に移って,学長である林竹二先生の授業に立ち合うことを頼まれて以来,世間ではあまり見られない授業に,しだいに引き込まれてしまった.先生の授業の内容は,人間の子は生まれたままでは人間になれない,人間が人間になるには文化(生活の仕方)を学習しなければならない,そして,人間には学習する力が備っている,ということに尽きる.
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