特集 「病態関連図」をおもしろく!
グループワークによる病態関連図の学習─看護基礎教育での演習の展開
矢富 有見子
1
,
川本 祐子
1
,
井上 智子
2
1東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科
2国立看護大学
pp.790-795
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200601
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はじめに
病態関連図を書くことは,さまざまな患者情報を整理し統合することにつながる。看護過程では,「情報を集める」→「情報を整理して関係性をみる」→「看護問題を抽出し優先度を決める」→「看護計画を立て実践していく」という一連の流れがある。このなかで,病態関連図を書くことは「情報を整理し関係性をみる」ところにあたる。学生は一定の情報を集めてくるのは比較的できるが,他にも必要な情報がないか,情報にどのような意味があるのか,情報同士がどう関係するのか,情報を統合していく作業に困難を感じることが多いと思う。
しかし,どうしても情報の統合が苦手と思っている学生こそ,病態関連図を学んでほしいと考える。病態関連図を活用して何がわからないのか,どんな情報が必要なのか,患者の全体像をとらえて看護計画に結びつけるために病態関連図はあるのだ。とはいえ,ひとりではなかなか「書けない」と苦しむ学生も多いだろう。そこで病態関連図を理解するために,ひとりで悩まずみんなで知恵を出し合って理解しながら書く効果的方法について,看護基礎教育での演習の展開における,グループワークによる病態関連図の学習方法を提案する。
なお,本学では病態関連図を単に関連図と呼んでおり,病態を中心とする病態関連図よりも,社会環境や生活習慣といった要素を組み込んで作成させている。患者のおかれている状況や考えなどが,病気,治療,療養に影響を及ぼすからである。よって,本稿での病態関連図は,患者の考えや取り巻く要素も含めたものとして取り扱うこととする。
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