講座 精神障害者福祉へのアプローチ・1
グループワーク
白石 大介
1,2
Daisuke SHIRAISHI
1,2
1元向陽病院カウンセリング室
2聖和大学教育学部
pp.896-901
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206972
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■はじめに
近年,障害児・者および老人の地域福祉,在宅福祉が脚光を浴びる中で,とりわけ精神障害者のそうした福祉は立ち遅れている.
社会精神医学や地域精神医学が注目され出してはいるものの,精神障害者への医療は相変らず病院中心の医療となっており,その内容も社会防衛的,隔離的色彩をいまだ浴びている感をぬぐいされない.一時,精神医療における開放化や早期に退院を促進する動きが見えたが,ごく最近においては,また閉鎖的,監視的な傾向が出てきていると思われる.一時的にしろ,開放化や早期に退院を促進する動きが出ていたにもかかわらず,また逆行しつつある要因は何であるのか.そのひとつとして考えられることは,精神科病院の開放化を進め,できるだけ短期のうちに退院を促進し得たとしても,はたして地域社会,患家などにその受け入れ体制が十分にできていたかというと大いに疑問の残るところである.精神医療の開放化を進め,早期退院を促進していくためには,並行して精神衛生センター,保健所など既存の諸機関の充実をはかり,社会復帰センターなどの増設を推進することによって,そこにおけるデイ・ケアやナイト・ケアなど充実したプログラムが提供されなければ,患者の病院生活と社会生活とのギャップを埋めることは難しく,また家族の不安も軽減されにくいと考えられる.
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