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臨地実習におけるインシデント・アクシデント事例の特徴
看護学生(以下,学生)が臨地実習(以下,実習)においてインシデント・アクシデント事例に遭遇する可能性,および事例については,前号でも示した。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の公開データ検索1)によると,2015年9月現在,キーワード“看護学生”では40件の医療事故・ヒヤリ・ハットが報告されていた。“看護学生”の事例への関与としては,「エラー発生の当事者」になるという直接的な関与に加えて,「エラー発生場面に遭遇する(その場にいる)」「事例発生の発見者となる」など間接的な関与も報告されている。本稿では,学生への影響を考慮して,「エラー発生の当事者」になることを未然に防止することに焦点を当てたい。
報告されている事例の内容としては,「看護師立ち合いのもと,受け持ちの看護学生が全介助の患者を起こし,靴を履かせようとした際,靴に爪が引っかかり剥がれかかった。患者の爪は長く伸び肥厚していたことに一昨日気付いていた。爪が長いままにしていたため損傷のリスクがあったが,その点についての注意を学生に伝えていなかった」という,看護師─学生間の情報の共有が十分に実施されていないことが影響している事例があった。また,「リハビリ室から片松葉杖で帰棟中,出入り口付近で“ちょっとイスに座りたい”と言いながら,左手に松葉杖,右手で手すりを持ち立ったままで休んでいたところ,手すりを持ったまますべるように右側から倒れ込み,第6肋骨骨折と診断された。リハビリテーション後,理学療法士は,片松葉杖で帰棟するよう言ったが,受け持ち看護学生のみ付き添い,病棟に連絡がなく,看護師は患者のリハビリテーション進捗状況を把握していなかった」という,職員間の患者に関する情報共有,および学生が1人で実施してもよいケアに関する情報共有の不足が影響している事例もあった。
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