連載 在宅高齢者ケアの支援システム—アセスメントとケアプランの試み・2
アセスメントからケアプラン作成まで
縄井 詠子
1
1北海道滝川保健所
pp.289-293
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901466
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昭和57年に老人保健法が制定されてから,予防対策と合わせて在宅ケアが開始された.しかし当時は開始することが目的であり,また対象者や訪問回数にも制限があった.マンパワーや社会資源も不足しており,量的にも質的にも十分な在宅ケアが推進されていたとは言えなかった.高齢者の増加とともに,虚弱な高齢者や援護の必要な障害をもつ人たちが増加傾向にあり,在宅生活を希望する人も増えてきた.超高齢化社会を目前にして,平成5年には各市町村で「住み慣れた地域で暮らすため」の保健と福祉を統合した老人保健福祉計画が策定された.
計画施行のなかで在宅ケアを担う多くの職種と機関が整備されつつあり活動が始まっている.一人の高齢者に対し,複数の援助者が対応する事例が多くなった.例えば,当保健所の難病の療養者をみると,多い人では8職種(保健婦,理学療法士,病院看護婦,病院栄養士,歯科医師,歯科衛生士,介護支援センター職員,訪問看護婦),6機関(保健所,市役所,病院,住宅介護支援センター,歯科医師会,訪問看護ステーション)がかかわりをもつ状況もみられている.重層したサービスの提供はケアの質を向上させるが,それぞれの立場で行われるサービスが,時として利用者やその家族を混乱に陥れ,各職種間の対立を引き起こすこともある.これらの実態の中から次のような課題が示された.
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