連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 2
未然防止対策はリスクの予測から!
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.532-537
発行日 2014年6月25日
Published Date 2014/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102732
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「未然防止システム」としての失敗モード影響分析法
医療事故の防止対策を検討するインシデント・アクシデント事例分析システムには,「再発防止システム」と「未然防止システム」がある。「再発防止システム」には,事例発生の原因を当事者のみの問題として終始せず,システムやプロセスに焦点を当てて根本原因を明らかにするという特徴のある根本原因分析法(Root Cause Analysis;以下,RCA)1―3)がある。「未然防止システム」としては業務プロセスと分析対象とし,事例が発生する前にあらかじめ発生する可能性のあるリスクを予測して対策を実施する医療における失敗モード影響分析法(Healthcare Failure Mode and Effects Analysis;以下,HFMEA)がある。医療安全の推進を図るには,この2つのシステムを状況に応じて使い分け,適切な分析を実施することが望ましい。
HFMEAを臨床で実践する意義としては,1)インシデント・アクシデント事例の未然防止,2)業務の見直しによる効率化,3)専門分野以外の業務に対する理解を深める,4)リスクアセスメント力を育む,5)職種間コミュニケーションを図る,などが挙げられる4)。HFMEAの具体的な活用例としては,「リスクアセスメントトレーニング」「マニュアル作成・見直し」「業務の見直し」「看護師・研修医への教育」「チームトレーニング」「職種間コミュニケーション改善」などが考えられる。
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