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職員への医療安全教育の現状と課題
医療安全教育の課題についてはこれまでにも述べてきたが,今後,さらに医療安全を推進し,患者・家族支援体制を充実させるためには,医療安全管理者や医療対話推進者など,中核を担う担当者の育成はもちろんのこと,医療機関における個々の職員の能力を結集し,チームとしての対応が必須である。そのためには,全職員を対象とした効率的な職員教育の実施が求められている。しかし,現状では,「職種による参加率の差がある」「参加者の関心が低い」「全職員が関心をもてるテーマの選定が難しい」「参加型研修の企画が困難」「職種横断的な内容の企画が困難」「研修企画担当者の負担が多い」などの課題を感じている担当者が少なくないと思われる。
2007(平成19)年3月に公表された「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針─医療安全管理者の質の向上のために」1)には,医療安全管理者の業務が示されている。その業務の1つである『医療安全に関する職員への教育・研修の実施』のキーワードは,“職種横断的”“参加型研修”“具体的な事例(の活用)”である。2013(平成25)年1月に公表された「医療対話推進者の業務指針及び養成のための研修プログラム作成指針─説明と対話の文化の醸成のために」2)にも,医療対話推進者の業務として『患者・家族支援体制に関する職員への教育・研修の実施』が挙げられており,そのキーワードは,“職種横断的”“参加型研修”“具体的な事例(の活用)”である。これら2つの指針にも示されているように,効率的・効果的な職員への医療安全教育を実施するには,“職種横断的”“参加型研修”“具体的な事例(の活用)”を考慮した研修企画が期待されている。
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