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はじめに
看護基礎教育において,グループワークは多くの大学や専門学校で初年次から多用される教育技法である。特に看護専門領域では,2年次,3年次と進むに連れて,各専門領域から出されたグループワークの課題が洪水のように押し寄せてくる。学生からは「先生方は学生の身にもなってください」「グループワークの課題が多すぎて,何がなんだかわからない……」という悲鳴やら苦情が聞かれる。おそらくどこの学校も同じような状況であると思われる。学生はなぜグループワークを嫌がるのだろうか?与えられた課題を,受身的な学習態度(やらされ感)で成果を出す(こなす)だけのグループワークは,学習効果や達成感などが希薄で学生にとって苦痛な作業に違いない。したがって,学生がグループワークを嫌がる最大の要因は,グループワークの本来的な楽しさや展開方法が身についていないことにあると思われる。
名桜大学看護学科では2007(平成19)年の開設当初から参画型看護教育を提唱し実践してきた。参画型看護教育の特色は,学生が「主人公となる学び舎」づくりをめざしており,「自己との対話」「他者との対話」「社会との対話」を通して「自己教育力」「自己評価力」「協働参画力」を育成することにある。そのため,1〜2年次のゼミ活動やクラス活動などで小人数活動(グループワーク)が活発に行われている1)。また,学生はお互いの役割分担などを話し合い,協働して授業(参画型授業)をつくり出す機会が意図的に配位されている。さらに,自己評価,他者評価として360度評価と呼ばれるSYMLOG分析*1を実施し,自分自身を客観的にとらえることで「自己評価力」の育成を図っている。このような参画型看護教育の成果としては,少人数ゼミ活動を基盤に,協働して目標に向かう学びを体験することから,学生はグループワークを通して成長していることの実感や,また多くの卒業生から,「臨床ではチームで仕事をすることから大学での学びが大いに役立っている」との声が寄せられている2)。
本稿では,本学の参画型教育を基盤とした「レポート作成論」(筆者,伊波が担当)の授業を通して,学生主導型のグループワークについて報告する。
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