連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 14
MITT:体験から学ぶチームトレーニング─臨床編
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.574-580
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200252
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インシデント・アクシデント事例発生の現状と課題
医療の現場で発生しているインシデント・アクシデント事例を検討すると,職員個々の注意や努力だけでは事例の発生を防止することは困難であり,他職種が協働した“チーム”での取り組みが今後の課題のひとつである。医療安全を今後さらに推進するために,各医療機関でも“チーム”に焦点を当てた新たな取り組みを検討されていると思われる。
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業における公開データ検索1)で,2015年3月現在,“チーム”をキーワードにすると1348件,“チーム”と“情報共有”に絞ると129件,“チームワーク”では12件の事例が報告されている。医療機関には,医師,看護師,薬剤師などの医療職をはじめ,栄養士,事務職員などの非医療職,さらには,医事課職員,調理員や清掃員などの外部委託職員も含めたさまざまな職種が,状況に応じて固定,あるいは臨時のチームとして協働している。複数の職種がかかわることで異なる視点で確認することができるという利点がある反面,異なる職種・職位,経験年数などによる影響を受けることによって,必ずしも情報が共有されないこと,伝達や確認のエラーが発生するという課題もある。
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