連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 13
MITT:体験から学ぶチームトレーニング─教育編
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.472-478
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200230
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体験から学ぶ“未然防止”の可能性
臨床で実施されている医療安全教育には,インシデント・アクシデント事例の発生を防止することや,事例が発生してもその影響を最小にすることなど,実践的な効果が期待されていると思われる。看護基礎教育において実施している医療安全教育も,対象である看護学生(以下,学生)は,近い将来医療の現場で業務に就くことを前提とした専門職としての教育であるため,同様に実践的な効果が期待されている。しかし,現状では,臨床経験が少ない,あるいはほとんどない学生がインシデント・アクシデント事例発生の未然防止に必要な実践力を身につけることは容易ではない。
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の平成19年年報1)に掲載されている「医療事故の発生要因(参加登録医療機関からの報告内容,平成19年4月1日〜20年3月31日)」によると,医療事故の発生要因として「技術・手技が未熟だった」「知識が不足していた」という知識・技術の不足が挙げられている(図1)。発生頻度の多いものとして,「確認を怠った」「観察を怠った」「判断を誤った」「連携ができていなかった」「説明不足」など,教育によって身についていたはずのスキルを実践場面で活用できていないこと,決められていたルール・マニュアルが遵守されていないことも要因とされている。さらに「教育・訓練に問題があった」ことも要因として挙げられていることから,医療安全教育における課題が見えてくる。
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