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はじめに
看護職者には,医療の高度化,複雑化,看護の対象の多様化など現代社会のニーズに対応した質の高い看護実践能力が求められている。2008(平成20)年7月の「看護基礎教育のあり方に関する懇談会論点整理」においては,看護基礎教育と卒後教育の充実の必要性が示され,同年11月の「看護の質の向上と確保に関する検討会」においては,看護基礎教育にかかわる看護教員の質の向上と確保,専門性を高めるための継続教育や,臨床現場での看護実践力の維持,向上の機会の確保などが示唆された。
その後,2010(平成22)年2月に,「今後の看護教員のあり方に関する検討会」報告書が取りまとめられたが,そのなかで看護教員の継続教育について,「看護教員自らがキャリアアップできるシステムの整備が必要」と記されている。
しかし,看護教員がキャリアアップを考える際の指針も不明確であり,また各看護教育施設で研修を体系化するには限界があるなかで,その具体化は各学校,個人にゆだねられている感が否めない。
一方,看護教員の離職率の高さ,多忙な職務のなかでの疲弊感,自己研鑽もままならないことへの焦りなど,置かれている現状の厳しさを多くの看護教員自身が実感している。
看護教育の内容充実と資質の向上・発展を目的に結成された北海道看護教育施設協議会(2013年4月現在,北海道内55校の教育機関のうち54校加盟)は,この現状を明らかにし,看護教員の継続教育のシステム構築に向けて歩み出すことを目ざして研究グループを立ち上げ,2010年度の事業として調査研究に取り組んだ。それにより,北海道内の看護教員の教育実践能力の自己評価の現状,教員経験に対応した継続教育課題,継続教育のシステム構築に当たっての困難の要因が明らかになった。
本稿では,この調査の概要と,その結果から設定した目標を紹介する。
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