シリーズ ワーク・ライフ・バランスを実現する!●育児をハード・ソフト両面から支援する・1【新シリーズ】
院内保育所整備の現状と課題―全国調査の結果から
江口 成美
1
,
野村 真美
1
,
出口 真弓
1
1日本医師会総合政策研究機構(日医総研)
pp.962-965
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101596
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はじめに
女性医療従事者が妊娠,出産,子育ての時期をどのように乗り越えるかは医療界全体の大きな課題となっている。厚生労働省は,2006(平成18)年以降,医師確保を目的とした女性医師就労支援の大きな柱として院内保育所を挙げ1),緊急医師確保対策においても院内保育所の支援拡充を打ち出している。
しかしながら,多くの院内保育所はもともと看護職員の利用を目的に設置されており,医師の利用は必ずしも多くないといわれている。本調査は,全国の病院における院内保育所の運営実態や就労支援の現状を把握するために2008(平成20)年に実施したものである註1)。結果より,院内保育所は医師の利用制限や運営費を含めた課題を多く抱えているものの,設置には一定の効果が認められた。看護職員や医師のニーズに即した支援策への柔軟な対応が求められるが,すべてを医療機関だけで対応するには限界があり,経済的支援を含めた行政側の積極的な支援が望まれる。
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