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札幌市立大学における模擬患者教育の萌華
■看護学教育と実践力の育成・評価
本学は開学当時から『実践的に看護を学ぶ』ことを重要視し,看護実践力の育成に力点を置きながら教育を行ってきている。カリキュラムは,(1)人間の生涯発達,(2)健康と健康障害,(3)個とコミュニティ,の3側面をもち,看護専門領域は9領域に分類され,各専門領域には教授が配置されており,専門領域のカリキュラムは「○○看護学概論⇒○○看護学演習⇒○○看護学技術論⇒○○看護学実習」の構成である。演習の重要性や卒業前までに実習で複数患者を受け持つことやリーダー看護師のシャドウイング(影のようについて歩き,その役割について理解を深める)を入れるなども考えられており,2009(平成21)年度のカリキュラム改正で打ち出された内容はすべて入っていたため,この時にはまったく改正を要しなかった。ただ,カリキュラム上では実践力育成を目途としているが,それらの評価をいかに実施するかが課題であった。
そこで,医学教育などですでに導入されているOSCE(Objective Structured Clinical Examination ;客観的臨床技能試験または客観的臨床能力試験)を用いることを学内教員へ提案し,1年次からトライアルとして実施,その方法や評価結果を検討した。その際には直ちに実績として良好な評価が出たわけではなかったが,実施に携わった教員は今まで体験したことがない,技術試験にはない何らかの手応え(認知領域だけなく,精神運動領域や情意領域を含め評価が可能であろう)を得て,トライアルを続けることに決定した。看護が単なる知識の集積によるものでなく,看護介入へのアセスメント,看護判断,介入技術などの総合であることは周知のことであり,OSCEはその一端を評価できるツールであろうと考える。
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