特集 指導者の想像力・教育観で進化するシミュレーション教育
看護教育における模擬患者の活用と今後の展望
福井 みどり
1
1(財)ライフ・プランニング・センター 臨床心理ファミリー相談室
pp.938-942
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101592
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
LPCと模擬患者を活用した医学・看護教育
ライフ・プランニング・センター*(以下,LPC)が設立された1973(昭和48)年当時の日本の医療は依然として疾病中心のパターナリズムによって実施されており,米国などにみられる患者中心の臨床医療からほど遠い状況であった。
LPC設立趣旨の一つには日本の医療の革新とそれに伴う医学および看護教育の改革ということがあった。当時カナダのマックマスター大学では大胆で斬新な医学・看護教育が試みられており,そのプログラムの一つが教育現場に「模擬患者」を導入して行なう臨床重視の医学・看護教育であった。LPCではさっそく1976(昭和51)年にマックマスター大学からHaward S. Barrow教授とR.M.Tanblyn看護師を招聘し(写真1),「模擬患者の養成と問題志向型学習による医療担当者教育の革新」というテーマで5日間にわたるワークショップを実施した。このとき,日本で初めて「模擬患者」(以下,SP)という概念とそれを活用した医学・看護教育を紹介した。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.