特集 模擬患者を取り入れた教育を見直す Part 2 模擬患者をどのように活かすか
大学において模擬患者をいかに活用するか―OSCEを中心に
渡邉 由加利
1
,
中村 惠子
1
,
吉川 由希子
1
1札幌市立大学看護学部
pp.586-592
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101821
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札幌市立大学のOSCEの概要
札幌市立大学(以下本学)は,2006年に開学した大学である。本学ではカリキュラムを構築するにあたり,「実践的に看護を学ぶ」ことを重視した。そこで,実践的に学んだことを評価するツールとして,すでに医学教育で用いられているOSCE(objective structured clinical examination : 客観的臨床技能試験または客観的臨床能力試験)を用いることとした(詳しい経緯については前号特集参照)。しかし,看護OSCEは従来医学教育で用いられていた構成と多少異なる。OSCEの基本的な考え方から逸脱するものではないが,コミュニケーションや面接技法を評価するにとどまらず,看護OSCEの特徴は模擬患者(simulated patient,standardized patient : SP)を介して清潔援助や移乗動作など多くの看護アセスメント・援助を実施していることである。
本学におけるOSCEの取り組みの概要を図に示す。本学の看護学教育カリキュラムは学年ごとのステップアップ方式の学習であることに着目し,1~4年の各学年の到達目標を明確にし学生にも示している。この到達目標と本学の看護学専門領域(9領域)をクロスさせながらすべての専門領域がOSCEの課題設定,シナリオ作り,評価基準づくり,評価表の作成に携わり,「看護OSCE」を実施している。学年ごとのOSCE課題は,学生が最も多く学習する看護学専門領域から出題され,授業のなかで必ず学修し,実習でも遭遇する頻度の高いものである。2009年度の学年ごとの担当領域と課題を表1に示す。
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