連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・15
看護理論をロールプレイとオンラインで学ぶ―イリノイ大学でバージニア・オルソンを偲んで
杉本 敬子
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1イリノイ大学看護学研究科博士課程
pp.620-621
発行日 2010年7月25日
Published Date 2010/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101512
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●【新しい教育法】「看護理論のロールプレイ:オンラインで学生を引きつけること」から
『JNE』4月号に新しい試みに関する興味深い標題記事をみつけました。この記事で紹介されているクラスが画期的なのは,看護理論をロールプレイによって学ぶというだけでなく,それをオンライン授業で行なっている点にあります。“看護理論”と聞くと敬遠しがちな人も多いのではないでしょうか? かくいう私も,20年以上も前のことですが,基礎看護授業の理論に関する授業中は,いつも居眠りしていた学生でした。ナイチンゲールやヘンダーソンの訳本を試験前の晩に録音テープに吹き込んで丸暗記しようとしたのですが,全く山が外れてがっかりしたことを覚えています。ただでさえ抽象的でわかりにくい内容なうえに,英語の和訳を利用しての学習には全く関心を持てませんでした。それよりも早く病院で実践を学びたいと思っていました。今思えば,なぜ看護理論を学ぶのか,看護の実践にいかに理論が役立つのか?を全く考えもしない学生でした。この講義方法は,私のような,理論よりも実践して学びたいという学生に効果的な教授法のような気がします。オンライン授業では,学生がインターネットのマイクに向かって興味のある看護理論家になりきって看護理論を説明します。理論上の概念や背景など,ロールプレイの際の資料は予め他の学生や教員に規定のフォーマットで提示しなくてはならず,高度な個人学習が求められます。しかしながら従来の講義形式に比べ学生たちには好評で,学習効果も高いと評価されています。理論を,五感を通して体験できるロールプレイ学習は,オンラインであっても可能であることをこの記事は示唆しています。
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