連載 私の一冊・1【新連載】
オルソンと「バージニア・オルソン物語」
大石 杉乃
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.172-173
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100016
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オルソンへの興味
第二次世界大戦後日本を占領した連合国軍(GHQ)は,看護の世界でも「看護改革」と呼ばれる抜本的な改革を行いました。占領期間を通して看護改革の中心にいたのはオルト看護課長でした。オルソンは占領2年目(1947年)にGHQ看護課のメンバーとして来日し,オルトが修士号取得のため1949年から1年間帰国した際,後任の看護課長に任命されました。再来日したオルトはオルソンとともに再び看護課長となりました。しかし,私が出会った多くの日本人看護師は,オルトの一時帰国以後はオルソンだけが看護課長であったと思っていました。このことは看護改革を研究していた私にとっては不可解なことでした。
また,アメリカでは公衆衛生看護の権威者として「オルソン博士」と呼ばれて尊敬されているのに,オルソンを知る多くの日本人から「オルソンさん」と呼ばれ慕われていることも私にとっては驚きでした。多くの日本人に,看護改革の最大の功労者とされているオルトよりも強い印象を残し,戦後世代の人たちからも慕われているオルソンとはどのような人なのだろうか。オルソンに強い興味をもった私は,早速オルソンにインタビュ-を申し込みました。オルソンは見ず知らずの私の願いをすぐに聞き入れてくれ,2002年11月シカゴで会うことができました。
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