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研究と教育のための病院を訪ねて〔1〕—イリノイ大学
塚本 蝶子
1
1元癌研病院
pp.35-37
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911258
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1.シカゴへ
テキサスの西部,もうあと数100マイルで,メキシコだという片田舎から汽車でダラスの町を通り,アメリカの大陸を南から北へと縦断したのは,夏休みのちようど中ごろ,8月の初旬でした。乾ききつて暑い風が吹き,シャボテンばかり育つている砂漠の風景から,うつそうと茂る大木や,穏かに流れるミシシッピー河の面を眺める景色に,何かホットしたものを感じた私は,やがてセントルイスの町で汽車を乗り換え,目的のシカゴに着きました。ひと落着きしてから,ちようど1年前にお目にかかつたミス・オルソンに電話を掛け,シカゴの町の中で,少し見学をしたいこと,またお目にかかつて,いろいろ御相談したいことをお話しました。町の中心よりやや北の端にはずれた所にある日本料理屋で,差し向いになつてから,私はテキサスの田舎町での暑い1カ月あまりの経験を話したり,今後の学習について,彼女の意見を伺つたり,また見学についていろいろな尽力を承わつたり,すつかり都と人のなつかしくなつていた私には,ただ嬉しかつたばかりでなく,何か心の中にうつ積していた塊が流れ去る思いで時を過しました。
2.イリノイ大学,看護学部へ
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