連載 なぜから始まる授業 基礎看護技術はなぜそうなのか?・11
技術試験の「ようなもの」で評価する
若村 智子
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.1038-1041
発行日 2009年11月25日
Published Date 2009/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101347
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「一人で全身清拭」に挑む
今まで,生活援助技術,治療援助技術の担当している授業の様子を,少しずつ抜き出して紹介してきた。何度も言うように,京大においては講義と演習を合わせて90分授業のコマで数えると,祭日なしで計算しても37.5回分しかない。おそらく他の学校と比較してかなり少ない時間数であり,細かい単元ごとの技術試験は時間的に不可能である。では,そのなかで看護技術の保証はどのように行っているのかというと,すべての単元が終了した後に「ベッド上での全身清拭,足浴,寝衣交換」を患者役の学生を相手に50分かけて一人で行うという課題においてである。
ただし,学生には「これは技術試験のようなもの」と説明する。チェックリストに従って技術力を試験していくというようなものではないからである。学生の技術力の確認も確かに含まれているが,日頃の演習ではグループ単位で対応することが多く,そのなかで埋もれてしまっている学生に対して助言もし,一人ひとりよいところを発見し,教員とのやりとりの貴重な場面にしたいと考えている。看護師─患者ペア作成は,学生たちに任せているが,患者役と看護師役の両方を必ず体験しなければならない。数日間の幅を持たせた私たちが対応可能な日程を事前に示し,学生たちが都合のよい時間帯を組んでいる。メールなどを活用して上手に組み合わせを作っているようだ。
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