特集 看護の統合力を筆記試験で評価する
看護技術を筆記試験で評価できるか
林正 健二
1
1山梨県立大学看護学部
pp.288-290
発行日 2008年4月25日
Published Date 2008/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100894
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はじめに
「看護技術を筆記試験で評価できるか」という話し合いから,今回の特集は生まれました。参加者は,薬剤師の資格をもつ看護師,看護教員,予備校講師,そして医師である私の4人でした。まず試験問題を作成しようということになり,新人看護師が行う機会が多く,しかも看護の統合力が問われる技術は何かといったときに,新人は,案外と患者の状態に対応した清拭の方法を考えられないという点が指摘されました。清拭に限らず清潔援助に関する看護技術は奥が深いので,これを事例にすることになり,メンバーの一人(横井郁子さん)が事例と最初の問題を作成してくれることになりました。それをもとに3人が問題を付け加えました(詳しくは291ページの横井論文参照)。
結論を先に述べます。評価できるのです。数学を例にとって考えてみましょう。数学の応用問題を解くためには,公式の使い方を知っている必要があります。しかし,公式を知っているだけ,覚えているだけでは解けません。看護の臨床問題も同じではないでしょうか。
試験が終わればたちまち雲散霧消する知識を仮に覚えていたとしても,使い方はわからないままです。実際の場面に遭遇して,初めて使い方がわかるのです。しかも,実際の場面で使ってわかった知識は,決して忘れません。
具体的な看護技術も,同じだと思います。
学内における技術の試験に合格しても,どの場面でそれを使うべきかを判断する能力は評価されていません。この判断ができて初めて技術を問題解決のために使えるわけです。
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