特集 カリキュラム改正に対応した教育方法・2
専門基礎分野:解剖生理学を看護の視点でどう教授するか
木内 妙子
1
1東京工科大学片柳研究所
pp.294-297
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101171
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はじめに
「解剖生理学が苦手です」「解剖生理学が大事な科目だというのはわかるけれど,どこから手をつけていいかがわからない」等々,国家試験を控えた学生との会話や,チューターの学生との面接でよく聞かれる発言である。看護基礎教育において解剖生理学は専門基礎分野に位置付けられ,看護実践の基礎となる専門知識を学習する領域とされている。だがこれまでこの科目は,解剖学や病理学の専門家や臨床医に講義を委ねることが多く,専門分野との教育内容の乖離なども指摘されている1)。また,田中らの行った看護学教育研究に関する動向調査では,基礎看護学の教育の中で解剖生理学的な知識を必要とする教育に関する研究はきわめて少ないことが報告されている2─4)。教育の中でコアとなる科目でありながら,看護が手をつけずにきた領域であるともいえる。
しかし,看護基礎教育において学生が人体構造を効果的に学ぶためのさまざまな試みも始まっている5─8)。今回筆者は,そのような取り組みにいち早く着手した東京都立の看護専門学校で2年間にわたって解剖生理学の講義を担当する機会を得た。ここでは,その教育活動の実際と,一連の教授活動によって得られた示唆について述べる。
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