教育技術ゼミ
教授の形態—個別教授
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.46-47
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905820
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一斉教授あるいは学級教授という教授の形態は,もともと学級の成員が等質であることを前提している。しかし,義務教育制度が発達してきて,被教育人口が増えてくると,学級は年令を基準として構成されることになるから,一斉教授が前提としている学級の等質性ということは,必ずしも保証されなくなってくる。また,20世紀に入って児童研究が盛になるにつれて,個々の生徒の能力の差異が予想以上に大きいことがわかってきた。一つの学級には,歴年令は同じでも精神年令の上では何歳もの差異のある生徒が含まれていることが明らかになったのである。
試みに数学の個人差についての研究の結果をあげてみると第1表のようになる。これをある中学校で調査したものであるが,中学生が小学校低学年からの数学の内容をどれだけ習得しているかを調べるために,それぞれの学年を代表するような問題を与えて解答させた結果(中学3年)である。別表からもわかるように,同じ中学3年生といってもその数学の学力差はほぼ10年位の範囲に拡がっている。
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