特集 カリキュラム改正に対応した教育方法・2
統合分野:看護の新たな考え方の視点をどう教授するか
大島 弓子
1
1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科基礎看護学
pp.318-323
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101177
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「カリキュラム」の持つ意味をあらためて振り返る
看護師養成におけるカリキュラムは,第2次世界大戦以降,現在まで時代と共に変遷(昭和26年,42年,平成元年,8年)をしてきた。これらの変遷の意味は,社会のニーズに対応している。“社会のニーズ”とは何か? それは,医療へのニーズでもあり,患者・家族へのニーズ,政策上のニーズ,学問的な発達からのニーズ等が混在している。この変遷について看護からの評価は,その教育課程を経て育成された看護師がどう育っているかをみることであり,その評価の視点は,常に看護の本質からみることが重要と考える。例えば,どのように学問的に優位になろうとも,数多くの患者に効率のよいスキルを提供できる人に育とうとも,権力ある人の言いなりで,対象に対して人間であることを重視しないような看護師に育っていた場合,看護の教育として意味がなかったといっても過言ではない。
カリキュラムが国で規定されていることは,教育の一定レベルを保証するためである。しかし,高等教育として専門的内容の教育は質を保証することを前提として,自由度の高い,つまり教育側の自律性に基づいて教育がなされるべきではないだろうか。現状はどうであろうか。各教育機関が自由に運用するためには自らで保証することが課せられ,これに向けての機関ごとの緻密な討議が必要になる。しかしながら,現実としては討議が間に合わず,カリキュラムが持つ意味を各機関で十分吟味しているとは言い難い状況下で,結果的に国の規定に沿った,形の上の画一化になっているのではないかと思われる。
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