特集 看護教育がチーム医療にできること
病棟師長から基礎教育に望む―緩和ケアチーム看護師として
中嶋 由紀子
1
1長崎大学医学部・歯学部附属病院
pp.820-824
発行日 2008年9月25日
Published Date 2008/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101017
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はじめに
患者・家族を支える病院という医療の現場では,多くの職種が複雑に絡み合って,チームとして医療を提供している。代表的なポジションである医師や看護師をはじめとして,薬剤師,栄養士,事務やお掃除の担当など,どの職種も欠くことのできない重要な役割をそれぞれが果たしているが,分けてもこれらのチームの中で果たすべき看護師の責任と役割は非常に重要で,高い能力が求められる。
当然のことながら,看護師となって医療現場に入ると,看護基礎教育で得た知識を基に医療現場の中で,チームメンバーとともに医療およびケアを提供していくことになる。さまざまな場面において,看護師となった看護スタッフとしての提供するケアに差が出てくる場面,チームとしての機能に差が出てくる場面を何度も見てきた。できるだけこの差が小さく,どの看護師も最低限の質以上のケアが提供できるよう教育しておく必要がある。他の医療者と対等の立場でチームメンバーとして協力していくためには,フィジカルな医学知識を十分にもっている必要がある。
また,医療の対象となる患者・家族はそれぞれの人生の中で生き,そして病気を体験してきている人たちである。病気の捉え方や感じ方は一人ひとり大きく違う。このような人々に向き合うときに,より広く深い人間性がもてるよう指導しておく必要がある。
チームメンバーの1人として,また,人間に対峙する医療者を育成していくために,基礎看護教育においてどのようなことが望まれるのであろうか。
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