特別企画 新しく看護婦になられた皆さんへ
看護に望むもの
高橋 忠雄
1
1東京慈恵会医科大学
pp.363-370
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922639
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“看護に望むもの”という題で何か話せというご依頼ですが,今までこういうところでお話しするときには,大抵,題は勝手にこっちで付けるようにというので,向こうから指定されたことはありません.私は,昔よく書いたことがあるんですが,“文芸春秋”の随筆を書くみたいなもんで,こっちで勝手に題をつけて書くのは案外むずかしいもんです.題名を選ぶのに時間がかかり苦労します,今日は題をもらっていますから,そういう意味では非常に楽でございます.
私は,実は生まれてからごく最近まで,病気というものを致しませんでした.昔,山でけがをしたことがありますが,それは外科の先生で,内科というのは私自身にとっては今までほとんどなんにも役に立たない学問でした.ただ,私の内科は,それによって衣食をするためにのみ存在するようなものでありました.病人として入院するなんていう経験はまったくありませんでした.ところが,一昨年の5月下旬に急性肺炎になり,約2か月近くも入院いたしました.その入院中から退院したあとまでも,いろんなことを考えさせられました.
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