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はじめに
学内実習は,看護技術の習得にとって欠かせないものであり,とりわけ基礎看護学については,「知識との統合による看護実践の学習だけでなく,看護師としての態度の学習を含めた展開方法の検討」が求められる1)。さらに,生活経験が乏しい学生が増えてきたことなどにより技術習得が難しくなっている状況が指摘されており2, 3),こうした学生の変化に合わせ,看護技術を習得できるような「準備・片付け」を含めた学内実習の指導方法の検討が必要と考えられている。
2002年3月に出された「看護学教育の在り方に関する検討会」報告書4)では,「『看護基本技術』を支える態度や行為の構成要素」として8つの項目が挙げられ,その1つ「実施と評価」の中で「準備・施行・後始末の各段階を基本的な法則に基づいて正確に実行する」と明記し,準備から片付けまでが技術習得の学習であることが示されている。
当校においても,年々学生の技術習得が難しくなっている傾向が強まっていると感じられ,学内実習後の臨地実習において,患者への技術の施行以前に「準備,片付けに大変手間取る」などの状況が見られた。また,実習に対して学生が主体的に取り組んでいるとは言い難い現状があった。この点から実習を見直したとき,今まで教員主導で実施していた「準備・片付け」は,学生を受身にしがちなマイナス面をもっていることに気づき,「準備・片付け」の学習方法を学生主体に変えることで,実習そのものを改善できるのではないかと考えた。
しかし,これまでの文献で,学内実習の展開を「準備・片付け」まで含めて検討したものは見られず,準備や片付けが学生に与える影響について注目したものは見られなかった。
本研究は,学生主体の「準備・片付け」が学生にどのような影響を与えたのかを明らかにし,学内実習における「準備・片付け」のあり方について検討するための基礎資料とすることを目的としている。
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