焦点
シミュレーション学習による技術教育の強化―臨床判断と一連の動作を学習する方略
森山 美知子
1
,
宮下 美香
1
,
山本 純子
1
,
山下 由紀子
1
,
Debra L. Spunt
2
1広島大学大学院保健学研究科保健学専攻看護開発科学講座成人看護学領域
2Clinical Simulation Labs, Department of Organizational Systems and Adult Health School of Nursing, University of Maryland
pp.804-809
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100370
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基礎技術教育の見直し
広島大学は,米国メリーランド大学ボルティモア校と2004年から大学間協定を結んでいる。大学間の学術交流の基盤をより強固にするために,われわれの所属する大学院保健学研究科は,2005年,加えて看護学部との部局間協定を締結した。ワシントンDCに近接するメリーランド大学看護学部は古い歴史をもち,臨床シミュレーション学習については全米でも屈指の強さを誇る大学であることから,協定の手始めに同校から講師を招き,教員研修を行った。
メリーランド大学で実施されているシミュレーション学習の実際を録画したビデオを見て,愕然とした。看護学の専門課程に入って1学期を終えた学生が対象者であったが,ここまで学生の技術を引き上げるとはと驚くばかりの内容であった。学生は,日本でいえば就職して半年くらい経過した看護師と変わらない,むしろそれ以上の臨床判断を伴う動きをしている! われわれは,自分たちの行っている技術教育を深く反省した。「学生の卒業時の技術力が低いのは,臨床実習での経験が少なくなったこと,学生の生活力が低下したこと,医療が高度化し教える内容が増加したことだけではない。効果的に教えることのできないわれわれ教員の責任なのだ!」と。
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