特集 臨地実習指導に問われるもの
「ケアする人」「ケアされる人」に求められるケアリング―臨地実習における指導場面の分析から
澤田 節子
1
,
甲斐 春代
2
,
加藤 幸恵
3
,
植村 章子
4
,
三上 和恵
5
1県立愛知看護専門学校
2東海産業医療団看護専門学校
3公立瀬戸旭看護専門学校
4前愛知県厚生農業協同組合連合会更正看護専門学校
5大雄会一宮看護専門学校
pp.104-109
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100003
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はじめに
臨地実習は,看護実践能力の育成のために重要な学習の場として位置づけられる。学生は,臨地実習において様々な経験をする。指導する側は学生が経験する学習内容の1つひとつを意味づけし,学ぶ喜びを助ける役割を担っている。最近では,臨地実習指導におけるケアリングの理論を導入することによって,指導のあり方について独自の展開を試みている人が多くみられる。このケアリングにあっては,相互に関心を持ち続けながら人間としての尊厳を守り,人間性を保持することを目指して道徳的に関わることが求められる。つまり,ケアリングでいう関わりの中で学生は,学ぶことの喜びを感じ,人間として成長することにより,ケアに対する責任を学んでいくことになるのである。
実際に学生は,臨地実習において臨床指導者や教師から,どのようなケアリングを受けているのだろうか。ネル・ノディングスは,ケアリングについて「他の人の実相を理解し,できるだけ入念にその人が感じるままを感じ取ることは,ケアするひとの観点から,ケアリングの本質的な部分である」と述べている1)。しかし,実際の指導場面で臨床指導者や教師は,学生が体験していることを全面的に受け止める前に,学習方法や記録の指導に力を入れてしまう傾向にあると思われる。また,指導する側のもつ様々な資質により,学生の学習意欲や人としての成長に影響を及ぼしているとも考えられる。
そこで本稿では,臨地実習における面接指導場面を分析し,学生・臨床指導者・教師(以下,3者と略す)の3者において,果たしてケアリングが展開されているかどうかを検討した。
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