連載 病院で発生する「悩み」の解きほぐし方・8
ケアレスミスを繰り返す人への指導は,パワハラでしょうか?
越後 純子
1
1国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 医療の質・安全部 医療安全対策室
pp.960-962
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211326
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Case
1年目の研修医Aは,薬を処方する際に違う患者に処方したり,異なる患者から採血を行ったりするなど,ケアレスミスが目立っていました.指導医Bは,患者の誤認は重大な事故につながりかねないので,その都度,十分に患者氏名などの必要事項を確認するように指導していましたが,辟易していました.ある日,カンファレンスの終了後に医局員が沢山いるところで,Aが「血液型を間違って輸血したが,他のスタッフがすぐに気付いたため,問題はなかった」と悪びれずに同僚と話していたことに対して,Bは,患者の生命に危険が及びかねない事態を軽んじている態度に堪忍袋の緒が切れ,「患者を殺す気か,お前には医者を続ける資格はない!」と,語気を荒げてAを非難しました.Aは,その日以降,無断で出勤しなくなってしまいました.その1週間後,Aから抑うつ状態と病名が記載された診断書とともに,ハラスメント委員会への申し立て書が送られてきました.
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