特集 家族への援助—家族療法を中心にして
家族の危機理論と援助の視点
杉山 郁子
1
1静岡県立厚生保育専門学校
pp.542-548
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900085
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はじめに
保健・医療の分野で活動する保健婦は,地域住民がさまざまな生活に直面する中で,危機に陥り,援助を必要とする場面に遭遇することが多い。個人・家族が従来の対処の仕方では問題解決に至らず,危機状況となった時,早期に,かつ高いレベルに回復していくように援助していくことが重要となる。これら援助していくための原則として,体系化されたものが危機理論である。
危機理論は,アメリカにおける社会的要請や予防医学,特に精神予防医学の観点から急速に発展し,1960年代後半から1970年代前半にかけて,crisis center,電話相談などとして,地域の人々に大いに活用されるようになった1)。地域における看護活動に危機理論が導入され,1980年代に入り危機状況の事例への援助として本理論の活用を試みた報告が出された2-4)。
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