焦点 家族療法の理論と実際
解説
Bowenの家族システム理論と家族援助
服部 陽児
1
1東海大学病院精神科
pp.241-250
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201025
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1.はじめに
S. Freudが,ヒステリー研究に始まる精神分析の理論を次々に発表し始めてから,約100年の歳月が過ぎようとしている。その間に精神分析は理論的にも臨床的にも発展を続け,その適用領域を拡げ,広く受け入れられるようになった。特に米国においては,精神分析は精神医学に大きな影響を与え,その基礎を成すことになった。これが力動精神医学と呼ばれる,主に米国を中心として発展した流れであり,ドイツを中心として発展した記述精神医学とともに,現代の精神医学の2大潮流となっている。
この「力動」とは,精神分析が提出したいくつかの基本的観点の1つである精神力動論的観点に由来する。すなわち精神現象を理解する際に,その基礎に欲求の充足や禁止,意識することや無意識のままに抑圧しておくこと,愛情や攻撃性などの精神的な諸力を想定し,それらの力が相互に作用し合ったり拮抗する結果として,精神現象を理解することができるとする観点である。
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