論説
看護における家族援助の視点
久常 節子
1
,
後藤 紀子
2
1公衆衛生院看護学部
2東京都世田谷保健所
pp.624-633
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206032
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I.家族状況の変化と看護
我国における核家族率は1955年から上昇幅を増し,1960年代に入ってからはさらに急激なものとなっている1)。そのうえ,1955年から1975年までの20年間に5.1人から3.9人と欧米諸国に例のない世帯規模の減少がみられる1)。
この急激な核家族化と小家族化は,かつての大家族に存在した主婦が働けない時,病人がでた時,姑や小姑が主婦に代わり機能するというような家族員相互の生活介助機能を弱体化した。このため,家族員の発病というような非常事態の対応だけでなく,乳幼児の保育などという非常に日常的な機能ですら,しばしば不安定な様相を呈している。こうした生活介助機能の弱体化に加えて,戦後の寿命の伸びはそれに対応する社会保障制度の充実が伴ってないことと相まって,介護を必要とする老人や生活力を失った老人の家族の機能をいっそう困難にしている。
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