特集 最近の保健婦活動 研究論文集[2]
家族危機における援助と保健婦の役割—複雑な家族関係にある精神障害者のケース援助の分析を通して
林 裕栄
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.962-969
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900147
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はじめに
保健婦が家庭訪問を行なう時,疾患を持つ患者だけでなく,その人をとりまく家族をも含めて援助の対象とするのは,基本である。保健婦は,家族が彼らを理解し病気を受けとめ,患者を支えることができるように働きかける。そのために,家庭訪問や面接などを行ない,患者を含めた家族が病気に対して立ち向かい,ケアし続ける力をつけるように支えている。
大原は,「家族は限りなくダイナミックなものであり,常に揺れ動いている。理想的な家族像は,境遇の変化とともに絶えず修正を要求される1)」と言っている。保健婦は,揺れ動いている患者,家族にタイムリーに働きかけ,危機状況を回避して本人を支えるシステムの建て直しをはかるように,援助していくことが重要である。
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