研究
家族の力を引き出す視点と支援方法—健康問題による家族の危機と克服過程の事例検討から
伊藤 真由美
1
,
杉山 郁子
2
,
島内 節
3
,
星野 ゆう子
4
1新潟県北魚沼郡湯之谷村役場
2静岡県藤枝保健所
3国立公衆衛生院
4神奈川県小田原保健所真鶴支所
pp.223-246
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207301
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はじめに
家族は健康問題が深刻であるとか,生活条件の悪化が重なると危機に陥る。この状況から脱しきれないと,家族の問題は累積し,ますます困難な状況へと陥っていく。
保健婦活動のなかで,このような事例に出会ったことのない保健婦はほとんどないのではないだろうか。このような事例をどのようにとらえて支援するか。筆者らは,家族が自分たちの状況を明確に理解し,危機を克服するための,努力目標と方法を学習することにより,自らの力量形成が可能になるような支援の方法が必要であるとは考えた。なぜならば,家族が単に支援者に依存してその克服への努力や体験(問題へのぶつかり方を学ぶ)を学習しなければ,一時的に危機は脱したかにみえても,次の危機を予防したり,危機発生時の取り組み方が不十分になるからである。
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