連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・11
場的視点の理論的意義の再確認—生物,哲学,社会科学のおける類似の視点との対比
糸賀 雅児
1
,
松田 正己
2
,
丸地 信弘
2
1慶応義塾大学文学部図書館・情報学科
2東京大学医学部保健学科
pp.308-315
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206823
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はじめに
1983年の2月号から連載してきたこのシリーズ1〜7)では,保健活動を《活動の場》の視点で捉える考え方について,いくつかの側面から解説してきました。この連載によって,《活動の場》の視点がどういうものか,また,この視点をもとにしてどのように《活動上の問題》の解決,改善を図ったらよいか,についての理解がしやすくなったのではないかと思います。ただ,そうは言っても,このような《場的視点》が,心理的な共有空間という,今まであまり考えたこともないようなこと,しかも目には見えにくいこと,に注目しているだけに,なかなか発想の転換がしにくいのも事実です。それに,これまでのこの連載が,もっぱら保健活動だけに目を向けてきたこともあり,《場的視点》の見方や考え方が,対人サービス活動全般や人間行動一般という,広い分野でどのような意味をもつのか捉えにくくなっています。そのため,《場的視点》とは保健活動を考えるためだけの特別な考え方,という誤解を招きかねません。
そこで,私たちPHC研究会のメンバーは,読者の皆さんに場的視点の理解を深めていただくためにはどうしたらよいか,いろいろと考えてきましたが,最近次のことに気づきました。
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