連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・12
場的視点による〈ケアの自然史〉の提案—〈疾病の自然史〉の補完的概念として開発
松田 正己
1
,
丸地 信弘
1
1東京大学医学部保健学科
pp.381-389
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206838
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はじめに
本シリーズは〈場的視点〉をテーマとしています。これまでの連載では私たちが既存の自然科学的な視点や医科学的な視点から,いかに〈発想の転換〉を図るかが一貫した関心事でした。そこで,連載の第1回から第5回の間1〜5)に〈場的視点〉の基本を述べ,それに引き続く第6回から第10回までに,個別的ケア6,7),住民組織活動8),セルフケア9),施設内ケア10)などの場的な捕え方を連載しました。なお,地域ケアについては1982年,1983年9月の本誌特集11,12)で取り上げています。
私共は発想の転換を強調していますが,場的視点と医科学的視点が互いに相入れないものとは考えていません。むしろ,お互いが補い合ってこそ,保健・医療活動が包括的に認識でき,効果的に実践でき,立体的に表現(伝達)できると思っています。前回13)の連載で述べたように,視野を科学全般14)に広げると,種々の領域で場的な見方が必要とされており,しかも保健・医療は他領域に比べ一歩先を進んでいることがわかります。
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