講座 遺伝相談の意義と実際(3)
異常児出生防止法としての遺伝相談
田中 克己
1
1東京医科歯科大学医学部(人類遺伝学)
pp.418-421
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205304
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危険がごく小さい場合
本人や近親になにかの異常があったとしても,それが遺伝性でなくて,外因によるものならば,心配はないわけである。
尻尾の短かいネコがいるが,むかしある学者は,飼主が長い尾をきらって,ネコの尾を切り,これをいく世代もくり返したために,とうとう尾の短かいネコができたのであろうと想像した。ワイスマンという遺伝学者はこの考えに疑問をいだき,実験で確かめてみようと思いたって,ネズミの尾を切り,その子の尾も切る,といったぐあいで数十代もくりかえしたが,短かい尾のネズミは生まれなかったという。
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