特集 先天異常児の出生と家族への援助
先天異常児の出生とケースワーカーの役割
森 秀子
1
1東京都心身障害者福祉センター幼児科
pp.676-683
発行日 1980年10月25日
Published Date 1980/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205771
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はじめに
統計資料によると,東京都における出生児数は年々減少の傾向にあるという。しかも,医療的管理技術のめざましい進歩により,妊娠中・出生時およびそれ以後の管理体制とも万全を期するため,後に障害を残す事故等の発生が少なくなっていると聴く。ただ,こうした環境で保護されて生まれたものの中に先天異常による障害児が率として多くなっているということだが,現に,東京都心身障害者福祉センター(文中では「センター」と略す)の窓口を訪れるケースの中には,出産時外傷,新生児期以後の脳症などの後遺症による障害児が減少する一方で,先天異常による脳障害を原因とすると考えられる重複障害児の割合が圧倒的な高率となっている。
これら重複障害児の主たる障害は知能障害(精神薄弱)と脳性まひであるが,中には視覚障害,聴覚言語障害,あるいは奇形を伴う肢体下自由を併せもつものも少なくない。こうした多様な重複障害を示すものの中で複雑な問題をはらむものは重度・最重度の知能障害を前景とするものである。
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