連載 保健指導を科学する・6
保健婦活動の事例をもとにた社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
保健指導理論から
田中 恒男
1
1東大・保健学科
pp.79-80
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203707
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いわゆる保健指導で,まず大切なのは初回の接触であることはいうまでもない.カウンセリングでは,ラポールができるまでの接触をインテークといっているが,この時期の人間的接触はカウンセリング効果のすべてを支配することさえある.このリポートでは,そのあたりの記述にとぼしく,十分な分析ができない.リポートは客観的な事実をのべてその上で作成者の見解を書くべきだが,このあたりがしばしばあいまいになるのは反省すべき点である.ケース・ワーカーほどの過程記録はいらないがどんなきっかけで話に入ったか,どのような展開をしたか,それに対して相手はどのように反応してきたか,などが明らかにされることが大切なことである.
たしかに観察として,もっともだと思う分析が加えられているのだが,残念ながらそれに対する裏づけがないので「事によったら思い違いが」といった懸念がないでもない.はなはだ失礼な言い草だが,主観性がすぎるのである.
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