連載 保健指導を科学する・9
保健婦活動の事例をもとにした社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
保健指導の理論から
田中 恒男
1
1東大保健学科
pp.79-80
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203772
- 有料閲覧
- 文献概要
この例ばかりではない。前からも何回ものべてきたように,どうも保健指導の記録が表面的になってしまう傾向が,一般につよい。この誤りはできるだけ早く是正されなければならない。というのは記録こそが分析のために欠かせぬ情報だからである。保健指導の記録において特に注意しなければならぬことは
1.患者(要指導者)のニード(必要性)は何か
2.それを達成しえない理由は何か
3.保健婦として果されるべき援助は何か
4.それらを通じて考えられるべき体制はどのようなものか
などの点の明確化とそのプロセスなのである。これらについては前にものべたので本号では省略する。
この方はいろいろ苦労されたらしいが,最初に筆者(リポーター)がとりあげている「適正な未熟児の管理機構」というものが,具体的にどんなものを想定しているかは不明だが,もし結核のような現機構を考えられているとしたら,これはいささか危険な話なのである。しかしもし未熟児をふくめて必要な保健指導を果していくことが目的なのだとしたら,機構の問題ではなく,むしろ,対象に対する体制・チームの問題になることと思う。この点について順が逆になるが後に私見をのべておく。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.