連載 保健指導を科学する・3
保健指導方法論を中心に
田中 恒男
1
1東大・医学部保健学科
pp.76-78
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203637
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医師との話しあいの場をもとう
保健婦が医師に対して,どのような態度あるいは理解をすべきかについて,波多野姉から発言があった,それはたしかにそのとおりで一言も追加すべきところはない.また,もしこのリポートのように,適正医療がなされていないとしたら,それはすでに保健所長水準での調整にまかせるべき問題で,保健婦の領域を逸脱してしまう,この例だけでなく,しばしば見聞きすることは,医師側の問題でこじれるという保健指導の例である.なぜこじれたかの原因を探究すれば,おそらくは千差万別であろう.しかし,いろいろな例をみても保健婦が苦労して,患者を正しい方向(と保健婦が考えている)にひきよせようと苦労している場面が多い.いったい,保健所長や予防課長はなにをしているのだろうか.ほんとうに結核予防法にもとづかない治療しかしない指定医がいるのだろうか.医師会はなにをみているのだろうか.こうした疑問がわたしにはわくのだが,そのあたりになると,今度は「所長もとりあげてくれないのです.」といった答が返ってくることもある.また,いっこうにそのことについての情報がもらえないこともある.この点に関しては,保健婦としても考えてみる必要がありはしないだろうか。
こういってみても,わたしはこの保健婦(リポーター)をせめるのではない.ある意味では,医師不信感という底流的ムードが,多くの保健婦にないとはいいきれないことを以前から感じるからである.
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