事例 保健指導を科学する・7
保健婦活動の事例をもとにした社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
保健指導の理論から
田中 恒男
1
1東大保健学科
pp.79-80
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203727
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この事例に記されたような特殊社会が,否定しようとしてなお実在するのは,まことに社会にとって不幸なことである。しばしばし孤立し,一般社会からあえて身を遠ざけようとする傾向が,徳川時代このかたしみついてしまった(また一般社会自体,これらの人を疎外しようとする)生活の中には,特殊な社会意識と生活態度が生れてくる。これらの点について波多野姉から,こん切な解説が加えられた。わたしは,こうした例に対して,保健婦がどう扱っていくべきか考えてみよう。
第1に,このように疎外された人の精神的支援の方法である。波多野姉のいうように,保健婦の側の目的意識と,患者の問題意識とはかなりいちじるしい次元の違いがみとめられるように思われるが,あらゆるケース・ワークがそうであるように,この段階での保健婦の役割について,どのように自己覚知すべきかを,あらためて考えてみることが大切だろう。そうした時,この疎外され,社会をともすれば白眼視するこの患者にどのように接すべきかの第一のステップが見出されよう。
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