連載 保健指導を科学する・10
保健婦活動の事例をもとにした社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
保健指導の理論から
田中 恒男
1
1東大・医学部保健学科
pp.78-80
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203796
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このリポートは,某保健婦学院の学生研究のリポートである。したがって,保健指導の経験にとぼしいかわり,新鮮な目で見ることができるという特徴をもっている。それだけに現場の保健婦諸婦に対しても一応参考になるところがあるかと思って学院のおゆるしをえてとりあげてみた。
このリポートの主題となった宗教については,すでに波多野姉の解説にくわしい。ここでは説得と行動という側面から,保健指導の問題を探ってみよう。反省のなかでもリポーターがのべているように,指導が単に知識の伝達に終り,それ以上の域を出ないことがしばしばある。対策のなかでのべられているさまざまな計画も,一応原則的には好ましい方式なのであろうが,ここで考えてみなければならないのは,価値観が全く異なっている場合(たとえばこの例のように)こちらの申し出を一義的に心の中に入れてくれることはまず期待しえない。
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