講座
実用病人食—胃腸病 1
宮川 哲子
1
1国立東京第一病院
pp.53-71
発行日 1957年6月10日
Published Date 1957/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201441
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私供が健康を保つていくためには栄養の知識を十分にもつていることが大切です.偏つた栄養をとっていると平和な気持つまりおだやかな心持のつづく生活が出来難くなつて来ます.又いらいらした神経質な人は食物が偏つていて好き嫌いがはげしいように見受けますから日常バランスのとれた栄養摂取に心がけることが大切なことです.一旦病気になつたら一層偏食しないように努めると同時に,その病気が治るよう病理に合うような食物を摂取しなければなりません.即ち食餌療法をいたします.食餌療法とは食呈物の調節によつて直接疾病を予防したり治療をしたりしてゆくこと,又はその病気のもつている疾病に障らないように病人の全身栄養を全うすることを目的としてそれに叶うような材料を選び又調理して薬物療法或は理学的療法と相侯つて治療にあたることです.それには
1 病理をよく知り,2 対症の食品を上手に撰択する(病気によつて制限しなければならない食品があります)3 病人の栄養量は健康時よりも少くてすむ(熱量),4 蛋白質は適当量あること,5 十分な無機質ビタミンを与えること,6 経済的であること(季節物をえらぶこと),7 嗜好を考慮するが偏食におちいらないようにするすること,8 食欲不振にならないようにする,9 消化のよい食品をえらぶこと.
以上の注意事項によつて治療食を実施することです.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.